HDから4K、そして8Kへ。高画質化する事で起こるメリットとデメリットとは

HDから4K、そして8Kへ。高画質化する事で起こるメリットとデメリットとは
2019年8月5日 ninefield

映像の画質は、この数年で飛躍的にアップしています。これまではHDでも十分綺麗だとされていましたし、実際にテレビを見ていても特に画質が悪いと思ったことはないでしょう。しかし今では4K8Kという、圧倒的な高画質映像も多いです。
見る方にとってはいいことですが、こんな風に映像が高画質化していくことは、我々映像業界の人間にとってはメリットもデメリットもあります。

 



 

 



高画質映像のメリットは画だけで人を引き付けられる点

高画質映像の持つ画力の強さは、誰でも知るところなのではないでしょうか?4K8Kという高画質にするとそれだけで、自分がその場にいて見ているかのような臨場感を得ることが可能。だから、すごく画に引き付けられるようになります。

極端な話、特に盛り上がりがないようなストーリーのドラマなどでも、4K8Kという圧倒的な臨場感の映像でお届けすれば、それなりの人を引き付けることが出来るでしょう。それが、高画質映像の大きなメリットです。

また、高画質映像自体のメリットではなく、4K8Kという高画質で撮影すること自体にもメリットはあります。

たとえば4Kで撮影すれば、まだまだ一般的に多く求められるサイズ感であるHD動画として書き出す際、綺麗なズームが可能です。

4K動画をHDサイズにするならば、スケールを50%ダウンにします。そこからズームしたいと思ったら、スケールを元に戻せばいいだけ。でも最初からHDサイズで撮っていたらスケールを150%とか200%にしないとだめでしょう。そうなるとやはりズーム後の画質は段違いです。

 

デメリットはいろいろな面での重さとコスト

高画質動画の編集は、すごく重たいです。当然編集する際には、マシンのスペックを求められるようになります。8K映像にさらに大量のブラーなどを乗せるとなったら、最新のCPUや大容量のメモリを搭載していても、スムーズには編集できない、書き出しにやたらと時間がかかるという可能性も出てくるでしょう。

快適に編集するためには常に最新レベルのマシンにしないとならないので、そこに対してのコストがすごくかかる可能性が高いです。それは、撮影機材にも同じことが言えます。8Kの撮影が出来る機材ともなると、当然ただHDで撮影が出来るだけの機材よりもコストは高くなるでしょう。

また、高画質にすると当然書き出した映像のファイルサイズも重たくなります。今後5G通信が本格的に広まっていけば、このファイルサイズの重さについては関係なくなる可能性も高いですが、現状はファイルサイズが大きければ大きいほど、通信でのやり取りの際に時間をロスします。

そうした重さを頭に入れて、スピーディーに行動しないといけませんし、マシンや機材用にしっかりと費用を確保しないとならないというのは、一つのデメリットです。

 

些細なものも見えてしまうというデメリットも

高画質化のデメリットはまだあります。それが、これまでであれば見えなかったものも見えてしまう可能性があるということ。

たとえば机の上に小道具としておかれた紙の上に描かれた小さな文字。こんなものも見えてしまう可能性がありますし、動画の出演者のちょっとした肌の汚れや傷なども目立つ可能性があるでしょう。

だから高画質での撮影をする場合、これまで以上に細部に気を使って撮影をしないといけなくなることは間違いありません。

 

デメリットもあるが魅力的な高画質映像

確かに4K8Kの動画にはデメリットもあります。でも、メリットが魅力的なことは間違いありません。使い方を考えて適材適所で使っていきたいところです。
これから先、高画質化のような映像における様々な変化があるでしょう。でもきっとそれらにも、メリットもあればデメリットもあります。だから、大事なのはそれらを適切なタイミングでうまく使えるようになることです。

 

テキスト:ナインフィールド
プロデューサー 松野 一人