「作品」としての映像と「製品」としての映像 その違いは?

「作品」としての映像と「製品」としての映像 その違いは?
2019年6月3日 ninefield

映像を作る人ならば誰だって、自分が良いと思うものを作りたいと思うもの。でもプロの映像制作家は、ただ自分の好きなものだけを作っているわけにはいきません。
クリエイターとして作る「作品」とプロとして制作する「製品」には、大きな違いがあります。



 

 



「製品」は「映像の先」を見ている

プロとして作る「製品」は、製品そのものに価値があるわけではありません。プロとして作る製品の価値は、その製品が与える「効果」によって決まります。

プロとして映像を作る際、当然そこには依頼者がいます。では依頼者はなぜプロに製品の制作を依頼するのか?依頼者は、その先にある効果に期待して、プロに制作を依頼します。

たとえば広告映像の依頼ならば、「その広告を見て、紹介する商品やサービスに興味を持ってほしい」。何かの施設のプロモーションならば「その映像を見た人に足を運ばせてほしい」と思って依頼をするでしょう。

つまりただ綺麗で見栄えの良い映像を作るだけではなく、その映像を見た人に行動を促さないといけない、依頼者の期待に応えないといけないのが「製品」になります。

「作品」は自分が満足できるもの

それに対して1クリエイターとして制作する「作品」は、特に映像の先を意識する必要はありません。「それを見た人がどう感じるかはその人の自由だ」という作品さえたくさんあります。

当然作品には依頼者もいないので、何か明確な狙いをもって作る必要もありません。つまり制約がなにもない中で、完全に自由に制作できることになります。

「自分が満足できるものが出来ればそれがゴールになる」。

それが「作品」の大きな特徴です。

クリエイターと職業ディレクターでは求められるものも違う

作品を制作するクリエイターは、基本的には自分のイメージを具現化するだけの映像制作スキルがあればそれで事足ります。それ以上求められるものは何もありません。

しかし職業ディレクターの場合は、ただスキルがあるだけではだめ。もちろん映像制作に関してのスキルも必要になりますが、依頼の意図をしっかりと読み解く読解力や、人に行動を促す映像を作るための構成力、依頼の狙いを明確にして、チームに正しく指示をするためのコミュニケーション力だって必要になります。

映像制作のスキル一つとっても、何か一つとびぬけたスキルがあればクリエイターは成立します。でも職業ディレクターの場合は、実写にもアニメーションにも知見がないとだめです。誰かの依頼を叶えるためには、幅広い手段の中から正しいものを選択しないといけません。だから、職業ディレクターにはより幅広い能力が求められています。

常に「映像の先」を見れば自然と成長できる

映像の世界で、自分の「作品」だけで生活が出来るということはそうそうありません。生活するためには、プロとしてやっていくためには「製品」を作らないとだめです。
だから映像を作る人は、常日ごろから「映像の先」を考えて映像を作っていく必要があるでしょう。そんな風に常に映像の先を意識していけば、自然と幅広いスキルも身についていきますし、常に価値のある映像「製品」を生み出せるようになっていきます。

テキスト:ナインフィールド
プロデューサー 高瀬 慎一