リモート授業の実態!インサートVTRを活用してオリジナルな動画授業を!

リモート授業の実態!インサートVTRを活用してオリジナルな動画授業を!
2020年9月28日 ninefield

新型コロナウィルスの影響により、ほとんどの大学が臨時休校に追い込まれました。学校側も学生側も大きな痛手を負い、学習がまったく進まない事態も予想されましたが、
多くの大学がオンライン授業に切り替え、登校ができない中で学習を続けました。

この傾向は現在も継続中で、いまやオンライン授業は、コロナ禍での高等教育の中核の一つと見る向きすらあります。対面授業の再開に未だメドが立たない中、今回はオンライン授業を受ける大学生の割合や現状、課題などを踏まえ、対面授業の穴を埋めるクオリティー高い授業で人気を集めるために、重要なことを考えます。



 

 



6割超の大学がオンライン授業を導入

文部科学省がまとめた「新型コロナウィルス感染症対策に関する大学等の対応状況について」によりますと、始業延期をせず、オンライン授業を実施するとした大学は全体で708校と大幅に増え、実に66.2%の大学がオンライン授業を実施していることがわかりました。

内訳は国立大学が71校で全体の82.6%、公立大学が58校で全体の55.2%、私立大学が536校で全体の65.2%、高等専門学校が43校で全体の75.4%となっていて、国立大学の多くがオンライン授業を実施する方向に舵を切ったことが伺えます。

実は、世界では、以前から「オンライン授業」を行っている大学が多く、個々のプログラムにあった教育を進めていますが、コロナ前まで、日本での普及率は極めて低いものでした。新型コロナウィルスによる影響により、オンライン授業の重要性に気づいたり、導入したりすることが加速したといえます。

世界の教育に後れを取らないためにも、そして教育の可能性を広げるためにも、コロナ収束後のオンライン授業の活用や継続的な利用は、すでに検討段階に入っていると考えられます。

 

「同期型とオンデマンド型」のメリット・デメリット

急速な拡がりを見せる日本のオンライン授業ですが、先述の通り、実施率は6割程度に留まっています。オンライン授業は大きく分けて、「同期型オンライン」授業と、
「オンデマンド型」授業の2つになりますが、それぞれメリットとデメリットがあります。
まず、「同期型オンライン授業」では、双方向でコミュニケーションを取りながら授業を行います。リアルタイムでの質問をはじめ、意見交換や討論などもOKですし、指導する側にとっても、これまでの講義のスタイルを変えないまま、授業が可能です。その一方で指導する側と学生の双方が、インターネット環境や、配信用の高価な機器を揃える必要があったり、学校側もアクセスの集中によるシステム障害を予防するためのサーバー増強が必要になったりするなど、コストがかかりやすいという点は否定できません。

「オンデマンド型授業」の場合、同期型オンライン授業とは違って、オンライン上に映像や音楽などの教材を予め用意します。それを学生が自由な時間に閲覧しながら、課題などに取り組みます。そのため、同期型オンライン授業で問題になっている「アクセス集中」への対策がしやすい上、時間に縛られない学習が可能です。また、生配信と違って、学生側はカメラやマイクなどを揃える必要がなく、比較的機材を買い揃えるハードルが低いです。大手予備校などでは、20年以上前から、衛星放送を使ったサテライン授業を展開していて、東北や山陰など、進学塾の環境が弱い地方在住の受験生の学力を大いに向上させるのに貢献しています。最近は有料ながら、スマホ用のアプリで有名講師の授業を動画配信する予備校も出始めています。

もちろん対面授業ではないので、学生側からの質疑については、YouTubeのような「コメント欄」や専用チャットを開設するといった工夫が必要ですし、授業評価をする方法が出欠以外になく、受講する側の中には怠ける人も出てくるなど、学生の能力に大きな差が生まれてしまう懸念もあります。これを克服するために、リポートの提出を義務付ける授業が多くなり、対面授業に比べて、かえって大変になったという学生の嘆き(⁉)も耳にするようになりました。

更に指導する側も、通常の授業スタイルとは異なるため、映像や音声、資料などの教材を事前に準備しなければならず、予算的にはともかく、労力的には、導入時の負担がかなり大きくなる可能性もあります。

 

「オンライン授業」に役立つ制作会社のノウハウ

こうした教員側の負担を少しでも軽減するのに、役立ちそうなのが、番組制作会社のノウハウです。大学の講義は通常1コマ90分ですから、「生配信」「オンデマンド」問わず、教員が学生を飽きさせない動画を制作するのは、かなり難しいといえます。制作会社が絡んだ場合、生配信なら、撮影はもちろん、複数台カメラのスイッチング、リアルタイムでの音楽や映像素材のインサートなど、プロならではのアイデアとテクニックが存分に活かされることは論を俟ちません。
映像のプロがオンライン授業に絡むということは、特に実験実習が必須な理系や、演奏などの実技に比重が置かれる音楽・舞踊系の場合に、威力を発揮します。例えば、化学や物理などの実験は、放物線や化学反応など、肉眼では確認が難しいような課題であっても、スローカメラを駆使したり、CGで3D解析したりと、かなり立体的に授業を進められます。
これは、教室や実験室で行われていた従来の授業に比べても、学生の理解度をサポートする点で飛躍的な向上につながるのではないでしょうか。

また、音楽や舞踊の場合、ピアノやバイオリンといった楽器演奏や、舞踏の実技を映像に収めることで、授業本番だけでなく、帰宅してからの復習にも大きな効果が現れるでしょう。当然、復習は法学や経済学、文学といった座学中心の文系学部でも使えます。

「インサートV」と呼ばれるこうした映像素材は、大学側が作ったとしても、プロの演出や撮影技術とは大きな差がでます。「餅は餅屋」に任せた方が、良質で長く使える教材ができるといえるでしょう。加えて、指導する側はアウトソ-シングで余力が生まれた分、より講義へ注力できる環境が整います。何よりも百戦錬磨の演出家の手で制作された動画は学生の興味を引きつけ、オンラインであっても、活気ある授業の実現に一役買うことは間違いありません。さらに指導する教官のワンショットに挿し込むスライドやグラフといった関連素材も、パワーポイントを使ったものに比べ、よりスマートで高精度に作り変えることができます。

 

オンライン授業の今後

今はまだ、道半ばですが、コロナ収束に兆しが見え始めれば、大学でも徐々に対面授業を再開し始めるでしょう。その場合、オンライン授業は、これまでの対面授業の補完という位置づけから、地方向けの公開講座などの配信がメインになると思われます。その時、コロナ禍でのオンライン授業で培った制作ノウハウは確実に役に立ちますし、地方の情報格差解消という重要な課題解決の有力な手段になり得るでしょう。

また、オンライン授業が大学や予備校だけでなく、高校や中学などへも波及する可能性が出てきました。以前から、社会問題化していた不登校の子どもたちへの教育手段としても大活躍するかも知れません。これまで述べてきたように、コロナで当たり前になったオンライン授業は新たな市場として、大いに期待できます。そして、その出来栄えをより精度の高いものにし、受講者が「受講してよかった」と思ってもらえるようにするためにも、プロのサポートは、もはや「必要十分条件」と言えるのではないでしょうか。

 

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 高橋 孝太