大 動画広告時代 ”見てもらう”ためには?

大 動画広告時代 ”見てもらう”ためには?
2020年7月13日 ninefield

若い世代の多くがテレビよりもインターネットと答えるように、情報発信の中心地はスマートフォンやタブレットの中にシフトしています。同時に企業が商品やサービスをPRする方法でも、各種サイト上に配信される動画広告の比率が高まってきました。

この先インターネットのユーザーに対する広告・宣伝は、動画広告の割合がさらに増加すると予測されます。その中でよりユーザーの興味を引くためには、どのような動画広告を作れば良いのか、映像を提供する立場から見た今後の展望を紹介します。



 

 



動画広告を視たユーザーはどう動く?

インターネットのユーザーは、それぞれ自分の興味に合わせてさまざまなサイト上に散らばっています。同じようなメディアのテレビと比較しても、自分の興味をより細分化して、ターゲットを絞り込めるのがインターネットの特徴です。

この特徴から推測できるのは、ユーザーが自分が視たい対象に集中している時に、インターネット上でランダムに広告が配信されてくると、なかなか好意的には受け入れてくれないということです。

例えばYouTubeで好きなアーティストのライブを視ているとしましょう。お待ちかねの曲が始まった瞬間に突然動画広告が割り込んできたら、ユーザーはその中身には目もくれずスキップボタンをクリックするでしょう。

 

ユーザーにスキップされる動画広告

YouTubeでのスキップ設定は通常5秒ですが、SNSの場合はもっと短くて実質1~3秒と言われています。これほどの短時間では、瞬間的に大きなインパクトを与えないと、ユーザーは確実にスキップして目的のサイトに戻ります。

SNSのユーザーはその特性として、1つの対象に集中する時間が非常に短いので、サイト内の記事であっても広告であっても、興味がなければ瞬時に別な対象に移ってしまいます。ある意味SNS上の広告は、スキップされることを前提に配信する覚悟が必要なのかもしれません。

一方でYouTubeなどの動画配信サイトでは、ユーザーは一定時間集中して動画を視聴しています。その途中でテレビCMのように割り込んでくる動画広告を、3分も5分もねばり強く視聴するユーザーはまずいません。

自分の興味を引かない広告が流れた時、スキップできない動画広告は別にして、ユーザーがとる行動は1つだけ、5秒間だけ待ってスキップボタンを押すことです。

 

ユーザーに興味を持ってもらえるか?

一方で動画広告市場が拡大を続けていることからすると、動画広告が宣伝効果をあげていることは間違いありません。ではユーザーにスキップされない動画広告とは、どのようなものなのでしょうか?

広告の使命として最も重要なことは、やはりユーザーに興味を抱かせることでしょう。ここでどのようなケースが考えられるか、いくつか検証してみましょう。
ポイントは最初の数秒でユーザーの心をつかみ、その先の動画広告を視てもらえるようにユーザーを誘導することです。

まず最も効果が高いと考えられるのは、その動画広告に興味を持ってくれそうなユーザーに対して、ベストのタイミングで広告を視てもらうことです。例えばダイエットのやり方をインターネットで閲覧しているユーザーに、その期待に応えるようなダイエット商品を紹介すれば、スキップボタンという選択肢はなくなるでしょう。

最初の数秒でユーザーに「おや?」という違和感を抱かせることも効果的です。この先に何が起こるか分からない、つまりこの先を視てみたい、という興味を抱いてもらえればスキップボタンは視界から消えてなくなります。

同じく最初の数秒で強烈なインパクトを与え、ユーザーがその動画広告から離脱できなくなれば、そのまま最後まで視てもらえる確率が高まります。インパクトの中身は、ユーザーが本来求めていたニーズに合わなくても構いません。そこから広告の流れに引き込めるかどうかが勝負です。

動画広告にストーリー性を持たせることも、スキップ時間とは矛盾しますが意外に効果が高い方法です。いわば映画やドラマの予告編のようなもので、最初の数秒をその後に続けるための伏線にして、ユーザーの興味をその先へと誘導するのです。

このようにわずか数秒の動画をきっかけに、動画広告の本編にユーザーを招待することは充分に可能です。ここからその具体的な方法について考えてみましょう。

 

ターゲットを明確にした動画を作る

インターネットの世界では、日々扱われる膨大なデータの分析が可能です。動画広告の閲覧状況をはじめとして、分析できる限りのさまざまなデータを集めて、それを基に次の戦略を練ることができます。

その分析結果からターゲットを絞り、そのターゲットの興味を喚起する動画広告を作れれば、宣伝効果は大幅にアップするはずです。しかも費用対効果まで高められれば一石二鳥です。

ターゲットは宣伝したい商品やサービスによって変化します。性別・年齢層・職業など、さまざまな要素を加味した上で、配信するプラットフォームを絞りこみます。
例えば女性向けの動画広告を配信するなら、女性の利用が多いInstagramに絞った方が効果は高いはず。

また女性が常に興味を持っている、ダイエット・ファッション・食べ物・旅行に関わるサイトであれば、直接そのテーマとは関わっていない動画広告でも興味を引くことはできます。ただし最初の数秒で強いインパクトを与える必要はありますが。

このようにターゲットを明確にした動画作りと、ターゲットの絞り込みを行うことで宣伝効果を高めることは、重要な戦略の1つとして常に心掛けておきましょう。

 

メッセージを伝え切る動画広告

非常にスピーディーな場面転換に慣れているユーザーは、最初の5秒でそこに込められたメッセージを読み取ることができます。この5秒で宣伝のメッセージを伝えきれれば、それで充分に動画広告の役目を果たせます。

広告の内容によっては、5秒ごとにメッセージを連続して伝える動画広告が作れるかもしれません。5秒で伝え切る動画が後から後からつながって出てくれば、ユーザーはスキップするきっかけを失うでしょう。

いくつかの短いメッセージの繰り返しの後に、ちょっと長めの動画で詳しい説明をしたり、1つのメッセージにかける時間をランダムにするなど、ユーザーの予測を超えた展開で興味を引くことも試す価値ありです。

 

「その先」を見せるための動画づくり

連続ドラマのように、その先が気になる構成をとり入れることも効果的です。今見た内容が完結せずに続きがあるとしたら、それを視たくなるのが人の面白いところ。もちろん興味を抱かせる内容であることが大前提です。

これは前述したように短い動画の連続という形でも良いでしょう。ユーザーがスキップを考えない程度の長さで、その最後の部分で続きを暗示すれば、ユーザーは無意識に次の動画を待つことになります。

またストーリー性を持たせた長めの動画広告を、あえて連続させず時間的にランダムに配信するという方法もあります。いわば極端な短編連続ドラマで、順番もランダムに配信すれば、全部視てみたいというユーザーの欲求が高まるかもしれません。

 

最後は映像にすべてを込める

手軽に配信できる動画広告とはいえ、映像そのものでユーザーを引き付けることは充分に可能です。あえて奇をてらわずに、本質的な映像の美しさによってメッセージを伝える方法です。

人は美しいものを見ると、一瞬で心を奪われることがあります。映像と音にこだわり、そこにすべてのメッセージを込めて相手に伝えることは、映像が本来持っている最大の武器のはずです。

伝えたいメッセージをすべて映像美という形で注ぎ込み、映像の原点に立ち返った動画広告を作ることは、映像制作者にとっても大きな魅力です。作り手の心が詰まった動画広告の前では、もはやスキップボタンは意味を持たないのではないでしょうか。

 

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 有明 雄介