多種多様なアクションカム、適材適所を知ろう

多種多様なアクションカム、適材適所を知ろう
2020年11月16日 ninefield

テレビや映画、ネット動画を問わず、ここ数年、GoProをはじめとしたアクションカメラの登場シーンはすっかりおなじみになりました。以前は、ジェットコースターやカーチェイスといった過酷な撮影シーンの場合、出演者に小型CCDと呼ばれるカメラを装着して、撮影に臨んでいましたが、GoProの出現以降、空撮や出演者目線の映像を高画質で撮影することが可能になりました。画質はもちろん、堅牢性や耐水性、防水性にも優れていて、最近はGoPro以外にも様々なメーカーがアクションカメラをリリースし、熾烈なユーザー獲得競争が繰り広げられています。今回はアクションカメラを取り巻く環境から、機種の特徴、さらには、タッチパネル、フレームレート、バッテリーなどにも触れながら、撮影シーンによって合う機種のチョイスを考えます。



 

 



アクションカメラは、過酷な撮影シーンに対応したビデオカメラ。

アクションカメラは別名「ウェアラブルカメラ」ともいい、体やドローンなどに装着してハンズフリーで撮影するビデオカメラのことです。サイクリングやスキー、スノーボード、それにスキューバダイビングなどを楽しみながら、ハンズフリーでいとも容易く迫力のある映像が撮影できます。サイズも小型で、可搬性に優れますし、価格も安ければ数千円、主力の人気商品は4万から5万円前後と比較的値ごろなので、気軽に購入できる点も魅力といえるでしょう。

また、バイクや自転車の場合、カメラをハンドルバーなどへ固定したり、「頭部」に装着したりすることで、出演者と同じ視線の景色や風景を撮影できます。もちろん、アクションカメラやヘルメットの形状に合わせて、「頭頂部」や「耳の下」にも取り付けられます。さらに、アクションカメラを固定するためのマウントも豊富で、装着したい場所に合わせて最適なものを選んだり、ボディカラーをお好みにしたりすることも可能です。

アクションカメラは、激しいスポーツやアウトドアの専用カメラのようなイメージを持たれがちですが、実際には日常生活の中でも、いろいろと便利に使えます。例えば「旅行」では、旅先で持ち歩きながら撮影できますし、もっと行動半径を絞って、近所の散歩でも重宝します。これが、大きくて重いカメラだったりすると、持ち出すかどうか悩みますし、歩くときに邪魔になることもあって、諦めてしまうかも知れませんが、アクションカメラは小型なので、ポケットやカバンからすぐに取り出せるという携帯性に優れていて、撮影チャンスを逃しません。

 

画質はもちろん、堅牢性や耐水性、防水性に優れている

画質は多くの機種で「4K」です。最近はテレビでもすっかりおなじみになりましたが、「4K」とは、映像の鮮明さや画質の良さを表し、高精細な映像が撮影できます。ビデオカメラの標準的な画面解像度がフルHD(2K)の1920×1080ピクセルに対し、「4K」の画面解像度は、3840×2160ピクセルで撮影が可能。つまり4KはフルHDより4倍も高精細な映像が撮影できます。

また、アクションカメラの優位性として、通常のカメラより広い「広角」の広さが挙げられ、景色を撮るときに役立ちます。人間の視野角は180から200度くらいですから、商品を選ぶ際、それに近い広角のものを選んでおくと、自分の目で見た景色をまるごと切り取ることができます。

当然、激しいシーンでの使用を想定して、堅牢性や耐水性・防水性の水準も厳しくなっています。この内、堅牢性については、誤って5階相当の建物から落としても、ケースに少し傷がつく程度で、作動に問題はなかったとする使用例があります。

スキューバダイビングをはじめとするウォータースポーツや、ウィンタースポーツなどの撮影に必要不可欠な防水性については、カメラ本体が防水仕様になっている機種が多い他、中には水中で撮影可能なカメラもあります。仮に防水性能がなかったり、弱かったりした場合でも、ハウジングと呼ばれる防水ケースを装着すれば、対応可能です。

 

人気のGoProに肉薄するソニー

GoProの登場は、アクションカメラの在り方に大きな革命を起こしました。誕生から、まもなく20年を迎えますが、多くのメーカーが追随して、製品を発表する中、GoProは、今なおアクションカメラの「代名詞的存在」として、圧倒的な人気を誇ります。ここに高画質をセールスポイントにして、肉薄している代表が、ソニーです。

GoProとソニーの一番の違いはマウントの機構です。ソニー以外のメーカーの場合、GoProをはじめ、アクションカメラは、通常のビデオカメラの使用方法とは一線を画した設計になっていて、マウント機構が普通のカメラとは異なる形状をしている機種が多いですが、ソニーの製品は三脚の雲台にそのまま設置できるようになっています。

手振れ補正機能についても、ソニーと他社では大きな違いがあります。GoProや他のメーカーは、小型化や軽量化を優先しているので、コンパクトでシンプルな電子式を採用していますが、画質はやや落ちます。これに対し、ソニーは高い技術力を背景に光学式の手振れ補正機能を搭載。サイズはやや大きくなりますが、画質面では他社に先んじています。

防水性能に関してもGoProとソニーのアクションカメラとでは違いがあります。GoProは、本体だけでも防水性能を備えていて、特に何もしなくても、そのまま水中での撮影が可能ですが、ソニーのアクションカメラは、本体だけでは「日常防水」の機能しかありません。もっとも、先述の「専用ハウジング」を使えば、両機種とも最大水深40m から60mという深さで撮影が可能になり、水中撮影での性能面は互角といえます。

 

タッチパネル、フレームレート、バッテリーについて

アクションカメラの中には、スマートフォンのようなタッチパネル機能のモニターが搭載されたものもあります。直感的な操作が可能な点、やや高価格ですが、カメラの設定を変更する場合、いちいちボタンを押して選択する必要が無いので、使いやすさは格段にアップします。ただし、防水ケースを装着するとタッチパネルの操作ができなくなるので、常にタッチパネルで撮影したいなら、防水性能の付いているアクションカメラを選んだ方がベストでしょう。

また機種を選ぶにあたり、「フレームレート」が30fpsか60fpsかもポイントです。「フレームレート」とは、静止画1秒あたりのコマ数で、数値をfpsという単位で表しています。数値が大きいほど、映像は滑らかになります。一般的には30fpsが十分なコマ数といわれていますが、60fps対応モデルは、1秒間に60フレームの記録が可能で、30fpsの倍のコマ数になり、かなり滑らかな映像を残せます。

海外旅行やタイムラプスなど、長時間撮影の場合はバッテリーの持続時間が長い製品を選ぶのも大切です。元々のバッテリー持ちが長い製品のほか、拡張バッテリーに対応しているもの、モバイルバッテリー対応型など、バッテリーに関する製品選びも多岐にわたります。もちろん、予備があれば、1個のバッテリーが切れても、交換して撮影を続けることができます。

 

場合によってはプロへの相談もアリ。

これまで紹介したように、アクションカメラにはいろいろな使い方があります。
テレビや動画の撮影にも広い絵の抑えとして追加されていたリ、今までのカメラでは撮影できなかったポジションからの撮影にもアクションカメラは利用されています。
小型のアクションカメラが高画質になったことにより、撮影方法や画格にバリエーションが生まれ、これまでに見たことがない画面構成ができるようになるでしょう。
一般の方でも、参入のハードルは、けっして高くありませんが、よりクオリティの高さを求めるなら、経験豊富なプロへの依頼をお勧めします。プロならば、一般の方は思いつかない様々なアイデアを提案できますし、アドバイスも的確です。アクションカメラの撮影の前にぜひ一度、検討してみてはいかがでしょうか?

 

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 村松 敬太