「エフェクト」活用でワンランク上の映像に

「エフェクト」活用でワンランク上の映像に
2021年11月1日 ninefield

動画のクオリティを高めるための編集として、エフェクトの活用はまさに必須です。プロが制作した映画のような演出効果を簡単に表現することができたり、視聴者に与える印象を大きく変えたりすることができます。最近は初心者用のアプリでも複雑な編集が可能になり、アマチュアの動画市場参入を促進する要因の一つになっています。今回は「エフェクト」にスポットをあて、その効果や推奨される使用シーンを紹介しながら、「ワンランク上」の映像づくりのヒントを探っていきます。



 

 



エフェクト使用の必然性

エフェクトとは撮影素材にプラスする特殊効果のことです。タイトルやシーンの切り替えはもちろん、音声や映像などでも頻繁に活用されます。YouTubeの動画編集でも簡単なエフェクトがたくさん使用されているので、動画を視聴する際は、どんなエフェクトが使用されているかに着目するのもおすすめです。平成の初頭までは「エフェクトを使うのは邪道。実写だけで視聴者を納得させられるのが良い映像」という暗黙の了解事項がありましたが、現代の編集現場では全く通用しません。エフェクトは動画編集をする上で、必ず種類を把握して、積極的に活用すべき編集技術といえます。

その平成初頭まで、エフェクトはどうやって作っていたかというと、スタジオのスイッチャー機能をフル活用していました。つまりタイミングに合わせてスイッチングレバーを操作し、疑似的にエフェクトを作り出すという人力作業をしていたわけです。音も左右2つのチャンネルしか無いので、所謂、「MA」と呼ばれる作業は、予め映像済の素材に、音効さんが6ミリのオープンリールやDAT、MDなどを駆使して、リアルタイムで音をつけていく手法でした。その内、アナログ編集機にトランジション機能を搭載したものが導入され、ディゾルブやワイプといった効果がかなり可能になりましたが、例えば、VTR編集の場合、連続トランジションをするには、素材テープを2つに分ける「ABロール」を作る必要があり、時間に追われる編集担当者を大いに悩ませたものです。これはパソコンを使ったノンリニア編集が普及するまで、続きました。

動画のクオリティを格段に高める上で、エフェクトは必要不可欠の技術であることは論を俟ちません。ただし、エフェクト素材はデータ量が大きいので、スペックの低いパソコンだったり、初心者用の動画編集ソフトを使っていたりすると、活用できない場合もあります。エフェクトをどう使いたいのかによって、当然、機材の購入指針も大きく変わってきます。

まず、エフェクトを使う動機として挙げられるのが、ドキドキ感や壮大感といった「非日常感」を演出したい場合です。例えば、普通は録音できない心臓の音や風の音をサウンドエフェクトで追加したり、映像に爆発や雷などの素材を使用したりすると、ドキドキ感や壮大感を表現することができます。つまり「このシーンはどんな演出をしたいか」を日頃から考えて編集することで、ドキドキ感や壮大感を演出すべきシーンが、直感的に理解できるようになります。

「喜怒哀楽」を表現したい場合も、エフェクトは大活躍です。キラキラした背景素材や雷などのエフェクトは、感情の喜怒哀楽を表現するのにもってこいです。こういったエフェクトを背景に挿入するだけで、漫画のような感情表現が可能になります。ポップな雰囲気の動画で積極的に活用するとエンタテインメント性が増すでしょう。

「場面転換」をしたい時にもエフェクトは有効です。トランジション用のエフェクト素材を使うことで、従来のカット編集よりも、スムーズな場面転換を実現します。視聴者にとっても場面がここで切り替わったという認識がしやすくなるでしょう。演出上、あえて決まったシーンだけに、エフェクトをかけることで、動画に抑揚が付くので、視聴者は飽きずに最後まで動画を見ることができるようになります。

 

エフェクト素材の種類

このように、視聴者を引き付けるのに欠かせないエフェクト素材ですが、代表的な種類を紹介しましょう。

まず、思い浮かぶのが「サウンドエフェクト素材」です。文字通り「音」に関係するエフェクトで、よく「SE」と略されているのでご記憶の方も多いでしょう。自然音や機械音、それに足音をはじめとする人物が奏でる音など、撮影時に録音されたサウンドへ「追加挿入」する素材です。「波の音」など、自然には中々録音できない環境音をサウンドエフェクトとして挿入することで、リアリティや臨場感のある演出が実現します。

夏のスポーツ大会などを編集する場合、盛夏を演出する素材として多用されるのが「レンズフレア素材」です。カメラを太陽に向けた時に映る白い帯状の反射をあえて素材として利用することで、雰囲気を変えることができます。大抵のビデオカメラでは、外で撮影した素材にナチョラルにレンズフレアが入りますが、機種によっては撮影できない場合があり、その場合に素材として活用します。

SFやドラマなどで多用されるのが「アクション素材」です。爆発や雷、雨や雪など、映像に環境的な特殊効果を加えることができます。例えば、雨が降っていない映像素材にも雨を降らせることができるので、編集の幅が大きく拡がります。アクション素材を活用している動画はまだまだ少ないので、視聴者の注目を集めそうです。

この他、ロゴやテキストなどをアニメーションで表示させるモーショングラフィック素材やトランジション用のエフェクト素材なども頻繁に使われます。特にトランジションエフェクトは先述のように、画面をただ切り替えるよりも、スムーズに場面転換を行なうことができ、視聴者にとっても場面がここで切り替わったという認識をしやすい利点があります。

 

初心者が陥りやすい罠

ここまで、エフェクトのすばらしさや必要性を縷々、紹介してきましたが、いくら多機能満載とは言っても、使い方を誤ると、かえって視聴者の機嫌を損ねてしまいます。よく一般人で「エフェクトだらけ」の作品を作りたがる人がいますが、これは感心しません。エフェクトは基本のカットがしっかりしてこそ、活きますし、エフェクトを多用し過ぎると、何となく落ち着かず、メリハリに乏しい作品になってしまいます。とはいえ、こうした勘所は一般人にはなかなか判断がつき辛いもの。そこでプロへの依頼という選択肢が出てきます。
 

プロなら様々な要望に応えてくれる

例えば、一つの映像作品を作る場合、プロならば、視聴者への訴求の勘所を押さえた上で、もっとも効果的なところにエフェクトを組み込みます。それは経験が成せる業と言っていいでしょう。また、先述の通り、編集がパソコンメインになった現代、クオリティの高い映像制作には高スペックのパソコンが欠かせませんが、これも大枚な額になってしまいます。何よりも多くの企業にとって、専属の広報担当がいない場合、誰かが撮影や編集を兼業することになり、他の業務に支障をきたすリスクになりかねません。その点、プロだと、機材はオールインワンで揃っていますし、前述のように経験に裏打ちされたアイデアを提案できるでしょう。様々な要望にも応えてくれるはずです。ワンランク上のよりよい映像を制作したいなら、是非、プロへの相談を検討してみては如何でしょうか。
 

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 村松 敬太