需要上昇「ハウツー動画」

需要上昇「ハウツー動画」
2022年1月17日 ninefield

インターネットやスマートフォンの急速な普及で、ハウツー(How To)動画の需要が高まっています。サービスの申込方法や、行政の細かい手続きなど、多くのものがオンライン化されていることもあり、動画を活用した解説の方が理解しやすいということが要因です。
しかし、いざハウツー動画を制作するとなると、そのノウハウに窮する場合は多いと思います。どうしたら、視聴者にわかりやすい構成にできるか、それこそ頭を悩ませる場面が増えてきます。今回はハウツー動画のメリットや制作方法、さらには効果的な活用方法について、探っていきます。



 

 



ハウツー動画の特徴とメリット

ハウツー動画は、端的に説明すれば「商品やサービスの使い方を具体的に紹介する動画」です。動画が出現する以前、消費者は印刷物やブログなどのテキストから使い方を学んでいました。しかしYouTubeをはじめとする動画市場の成長が著しい現在、使い方を学ぶ「主戦場」は、もはやテキストではなくなってきています。

 ハウツー動画活用のメリットは、商品・サービスの利用方法や作り方などを細かい部分まで説明できることです。このため、その商品やサービスが持つ効果を最大限にアピールできますし、商品やサービスの内容が複雑なほうが、かえって効果を発揮します。こうした特性は、サービスの利用イメージを具体的に想像できたり、メリットを伝えたりすることができるので、認知獲得や比較検討層への購入の後押しにも繋がります。

 例えば、美容商品や医薬品などは文字の場合、人によって解釈が違うので、どのくらいの量や塗り方、さらにはどんな効果があるのかなど、実際に目で見ないと伝わりにくい部分があります。その点、ハウツー動画なら、イメージではなく、具体的にどのような効果があるのか、どんな使い方をすればよいのか目に見えるため、間違った使い方をする可能性は格段に少なくなります。また、webサービスだと、色んな機能がありすぎて、何ができるサービスなのか伝わっていなかったり、魅力的な機能の存在を知られていなかったりする場合がありますが、ハウツー動画なら、映像を通して、有効な使い方を詳細に伝えることができるので、知られていなかったサービスが持つ本来の魅力を伝えることができます。

 ハウツー動画を導入する大きなメリットの一つが、CXの改善です。 CXとは「カスタマーエクスペリエンス」日本語でいう「消費者の購入体験」のことです。例えば、購入前、消費者は購入後のギャップをできるだけ少なくしようと、商品やサービスに関するさまざまな情報を収集します。ハウツー動画を視聴すれば、実際に商品やサービスを利用したら、どんな体験ができるのか、安心感と納得感を得られた上で、サービスの利用イメージを想像できます。

 もちろん、購入後、万が一使い方が分からなくなっても、スマートフォンから、ハウツー動画にアクセスできるので、簡単に利用方法がわかります。説明書をいちいち紙面で管理する必要がないことも大きな優位性といっていいでしょう。

 さらに見逃せないのが、人的なコストカットの側面です。利用方法が複雑でわかりづらかったり、商品の使い方が難しかったりするケースは、口頭での説明に時間がかかり、人的資源を割くことにつながります。ハウツー動画を活用すれば、質問が多く寄せられそうな箇所を予め動画コンテンツにまとめておくことで、問い合わせを減らせる効果が期待できます。また、実演販売だと、店頭で実演する場合は人件費がかかりますが、ハウツー動画の場合、店ごとに共通の動画を流せば、問題ありません。当然、繰り返し利用も可能ですから、人的資源が削減できますし、その分、他の作業に注力できます。

 

効果的な動画制作法

ハウツー動画を作る以上、商品の使い方や組み立て方はもちろん、メンテナンス方法、さらにはサービスの登録方法などを詳細に盛り込むことは必須です。そうしないと、消費者は、商品やサービスを購入し、その商品を自分が使うまでの姿をイメージすることができず、購入意欲が高まりません。

 ハウツー動画は、長い動画より、ニーズやコンテンツごとに小分けにした簡潔な動画の方が最後まで見てもらえる可能性が高まります。一つの商品やサービスごとに詳細なハウツー動画を作ろうとすると、ついつい尺が長くなってしまいますが、視聴者にとっては15分程度の完全版の動画より、ニーズ別に小分けにした動画の方が親切です。なぜなら、視聴者が知りたいことはハウツー動画の中でも一部である場合が多いからです。尺が長いと、知りたい情報が説明されるまで待たなければならず、視聴者にとってはストレスになりますし、タイトルで動画の内容を明示すれば、視聴者が知りたい内容かどうかを容易に確認できます。

 ハウツー動画の内容を企画する際には、図やアニメーション、テロップを効果的に活用しましょう。商品の操作方法を説明する際には、見えやすいアングルで撮影することも大切です。最近では、PCよりも、スマホやタブレット端末を用いて、動画を視聴する人も増えていますから、パソコン視聴のみを想定して制作することは避けた方がよいでしょう。小さな画面で動画を視聴する人のためにも、テロップを大きめにしたり、手元がはっきり見えるような距離で撮影したりするなど、視聴者の目線にたって、動画制作を心がけましょう。

 さらに言えば、実演を交えたり、「使用前」と「使用後」を比較したような利用メリットを伝えたりすることも、効果的な訴求のテクニックです。当然、動画から購入につながるケースもありますから、購入を検討している消費者の購買意欲を促すためにも、クライアントの意図も汲みつつ、伝えたいことを明確化しましょう。
 
 ここで、よく陥りがちなのが、凝った編集など、映像テクニックに終始することです。いわずもがな視聴者が求めているのは「使い方を知ること」です。派手な演出などは控えめにして、視聴者目線に立った演出を心がけた方が期待できる結果につながります。

 

プロへの相談も選択肢に

これまでご紹介してきた通り、ハウツー動画の役割は単なる取扱説明書の代用品には留まりません。商品やサービスの紹介を通じて、どうしたら見ている人を「購入」というアプローチへ誘導できるかが動画制作の最終かつ最大の目的だからです。しかし、商品やサービスの内容は理解できていても、いざ、それを消費者へ伝えるということになれば、やはり、一朝一夕にはうまくいきません。なぜなら、動画演出のノウハウが一般の人では質・量ともに圧倒的に足りないからです。ハウツー動画で視聴者や消費者へメリットを提供しながら、自社の商品やサービスをアピールしたいなら、プロへの相談を検討材料に加えてみては如何でしょうか。プロならば、動画制作の経験が豊富ですし、近年はマーケティングの視点を持って、制作にあたる会社も増えています。仮にこれをすべて独力で賄おうとすると、機材の準備や撮影・編集技術の習得など、他の業務への影響が出てきます。そうした不安はプロへの委託で全て払拭できます。きっと、クライアントの商品やサービスに最適な動画制作のアイデアを提案してくれるでしょう。「ハウツー動画」を、自社商品やサービスのブレイクにつなげるには、プロへの依頼が、カギを握りそうです。
 

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 林 要