人気急上昇360度動画

人気急上昇360度動画
2022年2月21日 ninefield

 手軽に導入できるVR=バーチャル・リアリティ(仮想現実)コンテンツとして、360度動画が注目されています。民生機なら数万円でカメラを購入できるため、コンテンツを作れるなら活用したいと考える企業も多いのではないでしょうか。実際に、エンターテインメントやファッション、アミューズメントといった分野を中心に、活用事例が増えています。中でも、時節を反映してか、オンラインショールームやオンラインイベントなどの用途で多くの企業が活用しています。今回は急速に人気が高まっている360度動画にスポットを当て、導入の効果や制作上の留意点などについて、探っていきます。



 

 



360度動画とは…

先述の通り、360度動画とは、VRコンテンツのひとつで、360度同時撮影が可能なカメラで撮影された動画のことです。通常の動画は撮影者の視点で固定されていますが、360度動画では、視聴者が動画の視点を自在に操作し、アングルを変えながら視聴することができ、「全天球動画」「パノラマ動画」とも呼ばれています。360度動画は動かしながら、様々な視点からの疑似体験ができ、何度でも視聴が可能です。通常の動画を受け身で視聴するよりも、360度動画で疑似体験しながら視聴した方が、印象深くかつ強いインパクトを残せます。

 「360度動画」「VR動画」とも「360度、さまざまな角度から楽しむ動画」という点だったり、「自分の好きな方向に角度を変える」ことで、通常の動画では味わえないような「臨場感」を楽しめる点は共通しています。ところが、VR動画の場合は、自ら仮想現実へ入り込んで移動し、視点を変えながら動画を楽しみますから、基本的にヘッドセットが必要です。一方、「360度カメラで撮影した動画」と「ヘッドセットなしでの視聴」という組み合わせは、スマートフォンやPCがあれば視聴できるので、視聴者が手軽にVRを楽しめます。Google Street Viewのように画面をドラッグして向きを変えることができますし、ジャイロセンサーつきのスマホなら、再生中に端末を動かして見る角度を変えたり、指をスワイプして視点を切り替えることも可能です。

 

360度動画の種類

360度動画には「ドームマスター」「パノラマ」「キューブマップ」の3つの形式があります。
 まず「ドームマスター形式」とは、360度カメラで撮影したものを1枚にまとめて、魚眼レンズのように表現したものです。
「パノラマ形式」は正距離円筒形式ともいい、球面状に撮影された映像を平面に変更し、緯度と経度を整えたもので、風景の撮影などによく使われます。キューブマップ形式は、立方体の中心から周囲を覗き込む形の映像です。3DCGのマッピングによく活用されています。

 

360度動画導入のメリット

 360度動画は単なるエンターテインメントとしてだけでなく、会社や商品の広告にも有効です。通常の動画よりも迫力が出るため、ユーザーの注目度を集められ、ゲームのPRなどに役立ちます。個性的でかっこいい360度動画を拡散すれば、一気に「バズる」ことも期待でき、集客率もぐんとアップするでしょう。会社や商品、サービスを売り込みたいなら、TwitterやInstagram、YouTubeなどに投稿するのがおすすめです。現在は「エンターテインメント」「ファッション」「アミューズメント」といった分野から「旅行」「不動産」「工場見学」などに至るまで、あらゆるジャンルで活用が目立っています。

 360度動画は、プラネタリウムやプロジェクションマッピングなどの体験型アトラクションにも最適です。360度動画が撮影できるカメラやアプリを使って、SNSやYouTubeに投稿して視聴者に楽しんでもらうという方法もあります。YouTuberの中には、テーマパークのジェットコースターに乗って撮影したり、ゲーム実況や深海撮影をしたりするなど、360度動画をフルに活用して、収益につなげているケースもあります。このように、企業はもちろん、一般の人もハイクオリティな「エンターテインメント」が提供できるのも、360度動画の大きな魅力と言っていいでしょう。

 360度動画を上手く活用すれば、業務も省略化できます。例えば、賃貸物件の「VR内見」ができるようになれば、物件そのもののPRにもなりますし、わざわざ内見へ出る必要もありません。もちろん、最終的な契約の際は実際に物件を訪れて、顧客に紹介する必要があるでしょうが、「ちょっと見学したい」「何となく物件をのぞいてみたい」という顧客へのニーズは容易に満たせるので、業務の省略化が実現します。

 

360度動画の制作法と留意点

360度動画を制作するには、まず、素材を用意することから始まります。360度動画を撮影できる機材を使い、撮影しますが、この時、テンポの遅い映像の方が、視聴者は360度動画の世界を堪能しやすくなります。また360度動画ならではの、周りを見渡したくなる、視点を切り替えたくなる工夫を散りばめると、なお良いでしょう。撮影が終わったら、2つのレンズで撮影した動画をつなぎ合わせる「ビデオ・スティッチング」という作業が必要になります。
 
 360度動画は、視聴者がアングルを自在に変えながら視聴することができるため、従来の動画のように、作り手が画角を完璧にコントロールできません。このため、重要になってくるのが動画の「プランニング」です。「ヘッドセットを使うか使わないか」に関わらず、視聴者をコンテンツの世界観にうまく入り込ませることがとても大切になってきます。

 視聴者がアングルを操作する度に周囲の情報を認識する時間が必要なので、従来の動画のような細かいカット割りで展開するのには向きません。ですから、カットの切り替えは最小限にとどめ、視聴者を飽きさせないよう、気を配る必要があります。

 また、撮影を終えた後で、設定や撮影の失敗が分かった場合は取り直しが困難なことも、従来の撮影にはないデメリットです。このため、撮影現場にパソコンを持ち込み、現場でデータをつないで問題が無いかを確認しながら撮影を進めていきます。具体的には、編集ソフトで映像のつなぎ目を見ながら、位置や明るさなど調整し、360度動画のデータに整えていきます。
 さらに、映像を合わせにくい場合は、動画編集ソフトを使って、手作業での補正が必要になったり、カメラを移動させて撮影した場合は、揺れを補正したりします。あまり揺れがひどいと「VR酔い」と呼ばれる不快感が生じ、せっかくのダイナミックな動画がかえって逆効果になってしまいます。

 

プロへの相談も選択肢に

このように、360度動画は魅力も多い反面、経験がないとなかなか視聴者を満足させる作品に到達できません。自社商品やサービスの販売促進、さらにはマーケティングのために、360度動画の制作を考えている企業並びに個人は確かに多いのですが、その特徴やメリットを最大限に生かす動画をつくれるかどうかは別の次元で考える必要があります。また、通常の動画とは押さえるべきポイントも違ってきますから、ハードルが高いのは想像に難くありません。こうした問題を解決するには、360度動画の制作実績が豊富なプロへ依頼するのがおすすめです。せっかく時間をかけて360度動画を制作しても、視聴者や顧客にその動画が伝わらなければ労作は徒労に終わりかねません。その点、プロならば、機材や編集といった部分の心配は皆無ですし、経験上、様々なアイデアを提供できるでしょう。ここは、ぜひ、プロへの相談を選択肢に加えてみてはいかがでしょうか。
 

テキスト:ナインフィールド
プロデューサー 笹木 尚人