スキル習得のための動画

スキル習得のための動画
2022年5月9日 ninefield

 YouTubeをはじめとした動画投稿サイトの出現で、最近、ブームになっているのが、「スキル習得」を目的にした動画講座です。以前は、テレビの料理教室などをはじめ、Webや書籍など、活字がメインでしたが、動画投稿サイトがキッカケで、投稿が急増し、趣味から実益に至るまで、実に様々な分野の「スキル習得」動画が溢れています。特に字面だけではなかなか理解しにくい場合、実演をまじえることで、理解度が飛躍的に向上します。加えて、スマホやタブレットの普及が呼び水になり、受講人口はとみに増えています。今回は急増著しい「スキル習得」動画にスポットを当て、拡がりの背景やメリット、さらにはその将来性などを探っていきます。



 

 



「動画」による実演講座拡がりの背景

インターネットの出現前、「未経験なこと」を調べながら業務を進める必要が出てきた際、真っ先に手にとったのが「書籍」という人は多いのではないでしょうか。街の書店や図書館は文字通り「知の泉」で、関連書籍を何冊も借りたり、買い漁ったりした経験は誰しもあると思います。また、分厚い用語辞典や年鑑は、会社の必需品の定番で、お世話になった人も多いでしょう。やがてネットの出現で、人々は検索という技術を用いて、知らないことや未体験の事柄を知識に取り込んでいくようになっていきます。2010年代に入ると、動画投稿サイトがスタート。ここでいわゆる「スキル教室」の動画化が本格化し始めました。

 「スキル習得動画」の起源は古く、テレビでは料理番組にそのルーツを遡ることができます。昼前や夕方など、献立を考える時間帯に放送される番組は、映像メディアの特性を生かし、実に詳らかにハウツーやスキルを伝えています。加えて、最近はリフォームや収納といった「DIY系」の番組も、スキルを伝える動画の一ジャンルとして根強い人気です。こうしたノウハウがネット時代の到来で、動画投稿サイトへと拡がり、こんにちの隆盛を極めています。

 こうして追い風が重なり、ある程度のスキルや知識が必要な場合は「書籍やWeb」よりも、「動画」を見て学習する人が増えてきました。特に若年層でその傾向が顕著です。もっとも、動画投稿サイトが登場した当時は、まだパソコンがメインで、投稿者はビデオカメラで撮影した素材を編集し、投稿するのが主流でした。程なくして、そこへ登場したのがスマホやタブレットです。撮影から投稿・配信・閲覧まで「オール・イン・ワン」で完結するため、投稿のハードルは格段に下がり、企業個人を問わず、多くの人が投稿へ「参戦」しているのはご案内の通りです。最近は実演を生配信する「ライバー」も増えてきました。

動画によるスキル講座のメリット

「スキル動画」のメリットとして、まず挙げられるのが、理解度の飛躍的な向上です。書籍などとは違い、臨場感は動画ならではの利点と言えますし、講師が視聴者に向かって口語体で説明してくれるため、わかりやすく、効果を実感する受講者は多いのではないでしょうか。中には、動画を最後まで視聴してもらうため、ギャグやエピソードを入れる講師もいるなど、競争が激化しています。

 わからないところは、戻して何度でも確認できますから、自分のペースで学べますし、Web上で他の情報と照合しながら、理解を深めていく作業にも親和性は高いです。さらに、動画を倍速で見ることで、受講時間を短縮できることも大きなアドバンテージです。多くの動画サービスでは、再生速度を調整できる機能がありますので、例えば、2倍速で聞き取れる場合は2倍、聞き取りづらい場合は、1.5倍速くらいで進めます。この方法だと、通常の半分のスピードで頭に入れることができますから、受講時間は飛躍的に短縮します。当然、受講後に理解が不十分だったところへもう1度戻るなど、「繰り返し学習」もしやすくなります。

 そして、見逃せない優位性が「時間と場所を問わない」ことです。現代のビジネスマンは、スマートフォンを1人1台は持っています。持ち運んでの動画視聴に適したスマートフォンは、すぐにどこでも動画を見ることが可能です。カフェやデスクはもちろん、歩きながらでも「ながら学習」が可能でしょう。移動時間の有効活用にもつながります。

期待できる将来性

年々、動画コンテンツの質がかなり高くなってきていることも将来性が期待できる一因です。言わずもがな、プロフェッショナルがわかりやすく説明してくれるコンテンツは、書籍に比べて段違いに理解が進みます。相手の顔が見え、わかりやすいですし、仮に有料動画だったとしても、1000円前後で購入できる場合が多く、本を購入する金額と大差ありません。本を購入する前にYouTubeで大まかな内容を確認すれば、購入の失敗リスクを最小限に抑えることも可能でしょう。加えて最近は、YouTubeなどにお試し篇の無料動画を投稿し、概要欄のリンクから書籍や有料動画へ誘導するケースも増えています。つまり、書籍はもちろん、有料の動画講座、ライブ講座などへの入り口として「無料のスキル動画」を活用している実態が浮かび上がります。

 このように、動画サービスを使ったスキル習得は珍しくなくなってきていて、資格を取るためにバリバリ勉強するという人もいれば、ビジネス書や新書を読むような感覚でビジネス動画を視聴している人もいます。一昔前までは「勉強するならとにかく本を読め」でしたが、今は知りたいことを楽しく、わかりやすく、納得できるように学ぶ「最適な手段」が動画です。自然とスキルや知識が身に付いていくことは論を俟ちませんし、今後、ビジネスマンをはじめ、あらゆる層を対象にした「スキル習得のための動画コンテンツ」は増大の一途をたどるでしょう。

映像制作会社への依頼も選択肢の一つ

これまでご紹介してきた通り、スキル動画へは一般人の参入も多いのですが、やはり品質を考えると、映像制作会社へ依頼した方が、段違いに出来栄えが変わってきます。例えば、料理関係の動画を撮影する場合、全景と手元など、最低でも2台のカメラが要ります。しかし、一般人の場合、多くは1台のカメラで撮影しますし、仮に複数台を確保できたとしても、きれいにスイッチングするのは至難の業です。1台なら編集は必須ですが、テロップやグラフなどを用意する手間に加え、機材を揃える費用も換算すると、とても割に合うとは言えません。その点、プロならば、撮影から編集・納品まで全てお任せできますし、仮にアドバイスだけでも、一般人には「目から鱗」のテクニックやポイントを教えてもらえる可能性もあります。何よりもわかりやすく構成するスキルは、プロならではと言えるでしょう。

 変化し続ける社会に対応するためには、豊富な動画コンテンツと書籍などを「合わせ技」にして、うまく使いながら、スキルを身に付けていくべきでしょう。その際に「生兵法」ではなく、プロの力を借りて、よりよい作品をつくることが、制作サイドはもちろん、受講者にとっても、真に役に立つスキル育成につながるように思います。この際、クオリティの担保や他の業務との兼ね合いも勘案して、制作会社への依頼をぜひ、選択肢に加えてみては如何でしょうか?

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 北原 進也