キャスティングの重要性

キャスティングの重要性
2022年5月16日 ninefield

 キャスティングという言葉は、芸能界だけでなく、最近は一般にも広く使われる用語の一つです。いうまでもなく、演劇・映画・ドラマなどで、役を割り当てることを意味する言葉で、広告の世界では、テレビCMや新聞・雑誌の広告に有名人や芸能人を起用することを意味します。具体的には、所属事務所との交渉や契約、撮影などの実務を調整する一連の流れを指します。「演出の9割はキャスティングで決まる」と言われるように、キャスティングは作品の完成度に関わる重要な要素とされています。今回はキャスティングの重要性にスポットを当て、SNSに拡がってきている現状から、その効果や出演依頼の際の注意点などについて、見ていきます。



 

 



キャスティングのメリット

配役の重要性は、演劇や映画の世界にとどまらず、企業のイベントやキャンペーン、さらには広告やCMなどのプロモーションの現場でも、伝統的にその重要性は認識されてきました。中でもタレントの起用は、企業側にとっても、費用対効果の高い魅力的なプロモーション手法として、新聞や雑誌が創刊された明治期以降から、積極的に導入されてきた経緯があります。
 
 商品に自信があっても、商品力だけでターゲットに認知するのは難しい場合がありますが、タレントをキャスティングすれば効率よく商品の告知ができます。有名タレントになるほど、話題性が高くなり、効果的な宣伝になるでしょう。タレントの起用は当該商品だけでなく、企業のイメージキャラクターとしても影響を及ぼしますから、様々な要素を加味した上で、慎重な人選に終始することは論を俟ちませんが、成功すれば、起用した人物のイメージが、宣伝する商品やサービスに直結するイメージとなり、ひいては企業に対する好印象を消費者に与えることができます。

カギになるSNS戦略

現代ではタレントの起用が、さらなる拡散材料に発展する可能性も秘めています。それは、情報番組の芸能コーナーやWEBメディア、さらには各種SNSや動画配信サイトなどで取り上げやすくなるからです。特に昨今、SNSや動画配信サイトで情報が拡散されることが急増しています。例えば、テレビCMにタレントを起用しただけでも、視聴者がTwitterでつぶやく場合があります。そこからリツイートで拡散されていき、何倍にも認知度が広がる可能性があります。つまり、商品力だけでは足りない宣伝力が、タレントの起用で、何十倍、何百倍にも拡がる可能性があります。

 こうした効果を呼び込むには、タレントキャスティングを考える際、情報の広まり方や狙いを明確にしておくことが肝心です。つまり「商品の購買層=リーチしたい層が、どのメディアに多く触れる傾向があるか」がタレント選びの基準として重要なファクターになってきます。例えばSNS を頻繁に利用する若い世代に対して、SNS を頻繁に更新しているタレントを起用すれば、宣伝効果はもちろん拡散の急増が期待できるでしょう。もちろん、企画や依頼内容を詳細まで策定し、クライアントと制作側が情報共有することは戦略として、必要十分条件といえます。このように、タレントをキャスティングすることは様々なメリットが期待できます。

キャスティングの際の注意点

企業がタレントをキャスティングする際にまず求められるのは、どういう目的で何を得たいのかを明確にすることです。典型的な目標例としては、「自社の商品・サービスの効果的なPR」「ブランドイメージの強化」「プロモーションで流れてきたユーザーの定着」「ファンを獲得するため」などが挙げられるでしょう。逆に目的が曖昧なまま、タレントをキャスティングしてPRなどを行なってしまうと、効果が出なかったり、思うようなPRが行えなかったりといったネガティブな結果に終わってしまいます。目標が達成できていない場合は、何が原因なのかをきちんと分析することが大切です。

 一般の人たちにはなかなか理解し難い部分もありますが、芸能界は想像以上にシビアな契約社会です。「どういう内容を、いくらの報酬で行うのか」はもちろんのこと、世間からのイメージを重要視するタレントという職業柄、「イメージを損ねる」と判断される内容は取り合いません。「ここまでは大丈夫だろう」「このくらいは意図を酌んでくれるだろう」といった曖昧な部分があれば、当日の進行になって「聞いている内容と違う」「ギャランティーと見合っていない」といったトラブルになりかねません。結果として、大きなトラブルはプロジェクト失敗の要因に発展してしまいます。設定しているコンセプトやストーリー、企画内容から、どのような結果を求めているのかを、細か過ぎるほどに策定し、タレントやその所属事務所と共有する必要があります。

制作会社への依頼がまずは選択肢に

タレントのキャスティングを依頼する場合、まず、挙がってくるのが、広告会社にプロモーション全体を依頼する方法です。広告会社は、広告を出したい企業と掲載するメディアの間に入る役割が基本的業務です。このため、大手の総合広告会社はプロモーションに特化した広告会社を傘下に入れている場合があります。特定の分野に特化した専門広告会社もありますが、その多くはIT系に特化しています。様々な分野に特化した広告会社も数多くあり、ニーズに合わせて選べるでしょう。ただし、広告会社の場合、CM制作を依頼すると、その後、制作会社やキャスティング会社にタレントの人選を依頼するケースが少なくありません。当然、原価に対する費用は増え、制作会社に依頼をかければ、制作費の原価にも上乗せが出てきます。

 その点、制作会社やキャスティング会社に直接、依頼すれば、タレントの起用から広告などの制作まで「ワンストップ」でのサポートが期待できます。広告会社へ依頼した場合と比べ、中間マージンが派生しないというアドバンテージがあります。当然、タレントの所属事務所とのつながりもありますから、人選や交渉がしやすいことも長所といえるでしょう。過去のキャスティング実績が豊富な業者であれば、蓄積したデータや独自のデータベースを持っているはずです。

 キャスティング会社の場合、タレントをピックアップするだけでなく、所属事務所との交渉や契約、撮影までの日程調整、撮影当日のサポートやその後の効果検証など、全般的なサポートが受けられます。もちろん、事前にタレントの条件や予算などを絞り込めれば、スムーズですが、仮にキャスティングに関して白紙状態だったり、ノウハウに自信がなかったりしても相談ができます。ただし、広告や動画などを制作会社へ外注する場合は別途、外注費がかかる点は変わりありません。

 そこで、キャスティングを含めたCM制作を制作会社へダイレクトに依頼してみてはいかがでしょうか?制作会社ならば、キャスティング費用を含めた制作費も提示できますし、何よりも契約にシビアな芸能界との交渉も経験豊富です。もちろん、撮影や編集、制作進行に至るまで、オール・イン・ワンで管理できます。仮に相談だけでも、業界内部に精通した的確なアドバイスが期待できるでしょう。きっと、クライアントの頼れるパートナーになってくれるはずです。

テキスト:ナインフィールド
プロデューサー 笹木 尚人