人材採用動画を活用する企業が増加中

人材採用動画を活用する企業が増加中
2021年5月24日 ninefield

コロナの流行は、企業の採用活動にも大きな影響を及ぼしています。会社説明会など企業と学生が直接対面できる機会が減少し、採用活動の縮小や延期、停止などを迫られている企業も少なくありません。こうした中、動画を活用した採用活動が急激に進み、自社のWEBサイトや動画投稿サイトに採用動画をアップする企業が増えています。従来の会社案内といえば、紙のパンフレットやホームページを基に、志望学生を集めて社員が会社説明会で説明する方法が一般的でしたが、コロナで集合形態のイベントが開けない中、企業が動画での採用活動に切り替えるのは当然の理といえます。今回は採用動画が急増している現状を踏まえ、動画制作が順調な採用実現にどうしたらつながっていくのかを考察していきます。



 

 



バラエティ豊かな採用動画

コロナで採用活動そのもののオンライン化が進む中、アップされる動画も実にバラエティに富んでいます。事業説明や社内の様子をはじめ、社長のスピーチ、社員インタビューなどももはや当たり前です。企業によっては歌を歌ったり、ダンスをしたり、はたまたドラマ風、ドキュメンタリー風などの演出もあって、あの手この手で企業のブランディングに腐心しています。
実際、企業を対象にした採用活動のオンライン化に関するアンケートでは、回答企業のおよそ7割が、「採用活動のオンライン化を検討中・またはすでに対応中」と前向きな答えを示していますし、「採用活動がオンライン化することで得られるメリットは、デメリットよりも大きい」と回答した企業もおよそ6割に達していて、効果が再認識されています。

 

採用動画のメリット

採用動画の導入は、従来、必要だったマンパワーやコストの効率化に大きく寄与しています。例えば、オンラインなしで会社説明会を開催する場合、会場を押さえ、採用担当者が現地へ出向かなければなりません。地方在住の就活生に配慮し、会場を複数化すれば、コストも高くついてしまいます。採用動画なら、会場は基本1か所でOKですし、繰り返し視聴できます。また、質疑はテレビ電話やチャットなど、リアルタイムと遜色ないコミュニケーションで対応でき、説明会で担当者が何度も説明する手間も省けます。これまで地理的な理由で出会えなかった学生とも、接点を持つことが容易になり、受験者の地域的な偏りを解消できます。これまで都市部と地方とで格差があった就活環境の改善が実現できるかも知れません。

採用動画は、求める人材を集中的に集めやすくする効果も期待できます。例えば、女性社員が多い職場ながら、男性も募集したい場合、「女性だけの職場でないことのアピール」「男性に向いている仕事がある」という側面を表現することが必要になります。当然、文章だけより、実際の様子を映した動画のほうがイメージはしやすくなります。

紙のパンフレットに比べて、フレキシブルに対応できるのも、採用動画のメリットです。印刷物の場合、修正箇所が出れば、はじめからすべて印刷する必要がありますが、動画なら修正部分だけを差し替えるだけで済み、飛躍的な効率化が実現します。就活サイトの求人情報は、まだまだ文字や写真だけでアピールする企業が多いので、「紹介文を載せただけ」という企業と差別化を図ることができ、より学生の記憶や印象に残ります。加えて、制作した動画は、多くの学生が利用中のTwitterやFacebookといったSNSでも配信が可能です。単純に採用情報を掲載するよりも、見てもらいやすさは格段に向上しますし、採用シーズンが終わった後でも、展示会や株主への説明会などへ流用できます。

 

学生にも好評

採用動画導入のメリットは企業にとってだけではありません。就職活動中の学生にも好評です。就職活動中の学生のうち、約7割が採用動画を見たことがあるというデータがあり、その半数は、企業のホームページで採用動画を視聴しています。
コロナで会社を実際に訪問したり、対面で先輩社員の話を聞いたりすることが難しい現在、学生の採用動画に対するニーズはどんどん高まるでしょう。社員のインタビューや日常のオフィス風景を盛り込んだ動画は、就活生にとって、よりリアルな会社の雰囲気が感じられ、対面での採用活動の充分な代替手段になり得ます。

 

採用動画導入のポイント

まさに「いいことづくめ」の採用動画ですが、導入にあたっては留意するポイントもあります。まず大事なのは「何のために動画を作成するのか」という目的の明確化です。採用活動に導入する動画といっても、目的はさまざまです。認知度を上げたいのか、社風をアピールしたいのかによって、動画の方向性や内容も変わってきます。まずは、動画で何を紹介して、見た人にどんな行動を起こさせたいのかを充分、練っておきましょう。

社員を使った演出の必要性も制作前に充分、確認する必要があります。確かに自社の社員を出演させれば、コストがかからず、リアリティも出ますが、反面、プロの役者を使った方が、訴求力が飛躍的に向上する場合もあります。制作にあたっては、自社の広報セクションなどで、撮影や編集することもできますが、クオリティは保証できません。予算にも因りますが、ノウハウの豊富さも考慮して、制作会社へ依頼した方が無難といえます。特にドラマ仕立てにしたり、アニメーションを織り交ぜたりする演出は、一般的には太刀打ちできません。「企業のカラー」を的確に映像化できるノウハウという点でも外注は有力な選択肢です。

動画は「作りっぱなし、公開しっぱなし」というわけにはいきません。公開した後も、定期的なアップデートが必須です。例えば、制作当時、インタビューに起用した社員が、年月を経て、すでに退職していたというケースも起きるでしょうし、会社の設備や制度を紹介する場合も、折に触れて、映像内容をアップデートしていくことが必要です。何よりも制作した動画は、全世界に公開されています。現在の会社の姿からかけ離れていないかを定期的にチェックしておかないと、せっかく会社のイメージアップの為に作った採用動画が、かえってイメージダウンにつながりかねません。

企業の採用力が試される「アフターコロナ」の時代に、採用活動をオンライン化し、フレキシブルに展開していくことは人材確保の必要十分条件といえます。その中で、動画を利用した採用活動はすでに新たなスタンダードになっているといっても過言ではないでしょう。いまや採用動画は企業宣伝だけでなく、応募者である学生側も楽しめるコンテンツの一つになっていますし、学生が自分自身をアピールする役割としても機能しています。換言すれば、採用動画を導入しない企業は人材戦略で他社に大きな後れをとることになり、ひいては業績にも少なからず影響が出るかもしれません。

よりよい人材を呼び込むには、動画を使った個性や演出などが効果的な手段であることは論を俟ちませんが、クオリティの高さ、定期的なメンテナンスなど、アフターフォローも考慮に入れるならば、やはりここはプロへの外注一択といえます。経験豊富な人材を揃え、ノウハウを蓄えた制作会社へ採用動画の制作を依頼することは、文字通りアフターコロナに臨む企業の「生殺与奪」を握っているといえるのではないでしょうか。

 

テキスト:ナインフィールド
プロデューサー 松野 一人