雑誌も積極的に動画コンテンツ

雑誌も積極的に動画コンテンツ
2022年7月18日 ninefield

動画を視聴できる環境が広く整ってきたことで、今やありとあらゆる業種、業界の企業が動画コンテンツを展開し始めています。出版業界も、動画コンテンツの配信に積極的に取り組む業界の一つといっていいでしょう。出版社というと、動画の活用とは無縁の「紙媒体」のイメージが強いですが、なぜ動画コンテンツ導入に乗り出すようになったのでしょうか。今回は、出版社が動画コンテンツを参画するメリットや雑誌との違いを通じて、成功するためのポイントを考えていきます。



 

 



動画導入の背景

 人口減少社会に、若者の活字離れ。さらにはインターネットの普及も手伝って、出版不況はもう25年以上も続いています。にもかかわらず、出版業界では、活字媒体以外のメディアを使った事業展開やマーケティングリサーチが遅れがちになってきました。例えば、雑誌編集では、読者層や求められているコンテンツを推定する場合、編集者の長年の経験に頼る部分があります。その場合、編集者が予想を外せば、売り上げが極端に下がるリスクがあり、ひいては経営の安定性にも影響を及ぼします。こうしたリスクを回避できるのが、動画コンテンツです。なぜなら、編集者の立場で俯瞰した場合、雑誌と違って、宣伝効果を数字で確認しながら、プロモーションを展開できるからです。

動画導入メリット

具体的には、再生数をはじめ、視聴ユーザーの属性や購買への結びつきなどが一目瞭然ですから、効果がどうだったのか把握できます。読者のニーズが理解しやすくなることはもちろん、勘ではなく数値的根拠にもとづいた施策が実行でき、著者や広告主に対して、説得力のある効果が提示できます。さらに、顧客を動かしている隠れた心理、つまり「インサイト」の部分まで把握したプロモーションも展開可能です。

 動画コンテンツは、雑誌の読者ターゲットよりも幅広い層にリーチすることが可能です。
若者向けの雑誌を発行している出版社では、年齢を重ね雑誌を卒業した人、つまり元購読者が「雑誌を買うのは恥ずかしいけれどWeb上なら…」と再び読者になるケースがあります。このような「今は購入していないが、興味は持っている」ユーザーへ訴求することができ、部数増の効果が期待できます。当然、「何となく視聴している人」も顧客にしていく可能性も生まれます。

 このように、動画コンテンツは、雑誌よりもターゲットを絞ってアピールできることもメリットの一つと言えます。年齢や性別、趣味や嗜好など、ある種の属性を持つユーザーに対して、訴求性の高いアピールを行うことが可能だからです。一冊の本の中で、欲しい情報だけを手に入れるような感覚で、動画コンテンツにアプローチできることは、大きな優位性と言えるでしょう。

重要性を増すSNSとの連携

読者を新規に獲得するにあたって、ソーシャルメディアの活用が大きな力を発揮することは最早、論を俟ちません。ソーシャルメディア全盛時代の昨今、読者は企業の宣伝広告や有名人の推薦よりも、お気に入りのインフルエンサーや信用できる友人・知人といった自分に近い存在からの口コミを重視する傾向があります。そして、ソーシャルメディアでの話題や通販サイトでの売上が増えれば、リアルで店舗を構えている書店が反応し、書籍発注やフェア展開につながっていきます。出版社はSNSや動画共有サイトでの盛り上がりを一過性のものとして見過ごさず、反応を気にしながら、好機にプロモーションに結びつけられるかが成否のカギを握るでしょう。

動画コンテンツを制作するポイント

では、動画コンテンツの運用を成功させるためには、制作時にどんな点に気をつけるべきでしょうか。

 まず、挙がってくるのは「重要業績評価指標」をしっかり設定することです。たとえば、ネット通販での売り上げ目標を「倍増」に定めた場合、達成に漕ぎつけるには「サイトを訪問する人を増やしたり、ユーザーの単価をアップしたりするなど、いくつか目標を立てて取り組む必要が出てきます。このように、最終的な目標に達成するための小さな目標が「重要業績評価指標」です。この指標を達成するにはミクロの部分にあたる「重要目標達成指標」を入念に定めておくことが、動画コンテンツ成功に欠かせません。

 自社のブランドとマッチしているかどうかも大切です。出版社が新たに動画コンテンツを始めるならば、既存の雑誌を生かさない手はありません。ブランドの固定客へダイレクトにアプローチできれば、「既存ブランド」にあたる雑誌と動画コンテンツの相乗効果が生まれ、より高いレベルのプロモーションが実現します。

 さらに、固定客を逃さない工夫として、ブランドのイメージと動画内容をマッチさせる必要があります。極論ですが、美食がテーマの「高級雑誌」に、節約料理をすすめる動画を配信しても、ユーザーには全く響きません。これまでのブランドイメージを壊さないよう、常に意識しながらコンテンツを作ることに腐心しましょう。

「プロ依頼」も課題解決の選択肢

 これまで、動画制作の経験がない出版社では、良い動画を作成しようとするあまり、1本あたりに予算をかけすぎて、採算面で行き詰まるケースがあります。実際にプロジェクトを進めてみるとわかりますが、動画コンテンツは「1本出して終わり」ではなく、継続して投稿しないと効果が続きません。しかし、動画1本あたりの時間だったり、人件費やスタジオ、撮影機材だったりといったコストが大きいと、継続が難しくなってしまいます。最悪の場合、効果を得られないままプロジェクトはフェードアウトしてしまうこともあり得るでしょう。コストの削減に取り組み、生産性を高めることが成功への第一歩です。

 生産性を高めるためには、動画制作体制を整備し、出版社が動画コンテンツを提供する際の最大の課題といえる「費用対効果」の向上が必要十分条件です。安くて手軽に動画を量産できる体制を整えておけば、書籍に重版がかかったときや書籍の内容と世間の流行がマッチしたときなどに、間髪を入れず、動画を配信することができます。さらに大きな反響につながることが期待できるでしょう。

 ただ、新規に動画制作部門を自社で抱え込むのは、先述のように機材や体制面でリスクをはらむ場合もあります。その場合、経験豊富なプロに依頼することも、トータルのコストダウンという面では有効と言えるかも知れません。プロならば、機材を含めた動画制作はもちろん、訴求効果を見据えたマーケティングまで、オール・イン・ワンで対応することが可能です。

 出版業界のプロモーションがデジタルへと大きくシフトしている中、「動画コンテンツ」への対応は、出版社が、今後のIT社会を渡り切る上で避けて通れない道と言えます。雑誌と比べた場合、動画コンテンツは明確に数字が出ますから、ごまかしが効きません。動画コンテンツの導入を成功に結び付けるには、書籍だけではなく、個人のブログから他の企業のサイトまでをライバルとして捉え、それに打ち勝つだけの「魅力ある動画」の配信が求められます。効率的で効果の高い動画コンテンツの導入を検討する際、ぜひ制作会社への依頼を選択肢に加えてみては如何でしょうか。きっと心強い味方になってくれることでしょう。
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テキスト:ナインフィールド
ディレクター 有明 雄介