インナーブランディングの重要性

インナーブランディングの重要性
2022年10月3日 ninefield

 近年、多くの企業が「インナーブランディング」に取り組んでいます。「インナーブランディング」とは、自社の企業理念やブランド価値を社員に浸透させる活動のことです。普通、
「ブランディング」は社外に対して行うイメージがありますが、「インナーブランディング」は社内向けに展開します。活動の展開で、社員の自社に対するイメージが向上し、企業活動にも良い影響を与えるでしょう。
 
 「インナーブランディング」の目的は、企業理念や自社の価値観を共有し、社員が正しく認識できるように促すことです。展開すれば、企業理念や自社の価値観が社内へ浸透し、共感を得やすくなります。社内外の環境が変化している場合、インナーブランディングは変化に対応するための取り組みとして有効ですし、企業価値を見直して強化したい時にも、効果を発揮します。今回は「インナーブランディングの重要性」にスポットを当て、その意義や導入の際の留意点について、考えていきます。



 

 



「インナーブランディング」導入の意義

 そもそも「ブランディング」とは、企業や商品の価値に対するイメージを向上させることです。「ブランディング」には、顧客や取引先といった社外向けの「アウターブランディング」と自社社員や利害関係者をはじめとする内部向けの「インナーブランディング」の2種類があります。社内・社外それぞれのブランディングに取り組むことで、ブランドの一貫性を担保できます。

 「インナーブランディング」は、「アウターブランディング」を成功させるための土台にもなります。例えば、社内で自社の価値が把握されていなければ、社外に対して正しくアピールすることはできません。その点、「インナーブランディング」は、社員の理解促進に役立ちますから、組織のパフォーマンスや自社に対するイメージも向上し、社員同士の連帯感も強化できます。こうして「自分が所属している企業は価値がある」と認識できれば、社員の自社に対するロイヤリティやエンゲージメントも高まります。

動画化でより「効果的」に

 企業の理念や価値観を従業員に伝える「インナーブランディング」活動には、従来、社内報や記念イベントなどがありますが、近年ではイベントなどで使用するため、動画で「インナーブランディング」を試みる企業が増えてきました。企業の理念やビジョンの共有といった「インナーブランディング活動」は、売上や利益には直結しないため、多くの時間を割くことは容易ではありません。また、企業の理念やビジョンはあくまでも「概念」であるため理解が難しく、社内報などの文章や、経営陣の講話、朝礼などの口頭説明を用いて、社内に浸透させる際の大きなハードルになります。

 その点、視覚と聴覚の両方に訴求する動画ならば、素早く、しかも確実に「インナーブランディング」が可能です。「インナーブランディング動画」は従業員が社内SNSやポータルサイトで、都合の良いタイミングで視聴できる上、繰り返し視聴ができることも大きなメリットです。動画を視聴することで、普段は確認することが難しい商品やサービスの強み、企業理念、会社のビジョンなどを認識でき、従業員のモチベーションを引き出すことも不可能ではありません。
 
 例えば、経営陣が「インナーブランディング動画」に出演し、理念やビジョンを伝えることで、それらを従業員と共有することは充分可能です。従業員が企業で担っている役割や今後のビジョンを把握することにつながりますから、結果として、社員の自社に対する信頼が高まります。いわずもがな、自社の考え方に共感できる人材が増えるため、入社後のミスマッチを予防でき、離職率の低下にも貢献するでしょう。

 近年はQOL=生活の質の考え方や仕事観の多様化で、企業理念を重視する人が増えています。特に就職活動中の20代の学生は、企業の理念やビジョンを重視する傾向が強いというデータもあります。「インナーブランディング」を動画化することで、人材の定着や確保はもちろん、企業の理念やビジョンを明確化することにつながり、従業員の採用にも効果を発揮します。さらに社員自身が自社の価値を理解しているため、自ら、商品やサービスの魅力について幅広い情報発信ができるようになります。

ブランディング展開上の注意点

このように、期待大の「インナーブランディング展開」ですが、気を付けなければいけないこともあります。まず「焦ってすぐに結果を求めない」ことです。社員に企業理念や価値観を浸透させるには、ある程度の時間がかかります。「インナーブランディング」に着手しても、すぐに効果が出るわけではありません。そのため、中長期的な目線で計画的に展開していく必要があります。
 
 また「価値観の共有を求めすぎる」ことで、弊害も生じます。ブランディングにこだわるあまり、価値観を共有できない社員が置いてきぼりを食ったのでは、逆効果になりかねません。価値観の共有は重要ですが、価値観への共感はあくまでも社員の意思に任せ、無理に押し付けないように心がけることが大切です。

プロのサポートでクオリティの担保を

  これまでご紹介してきたように「インナーブランディング動画」で最も重要なのは、動画を通じて、自社の従業員に対し、企業理念やブランド価値を共感・浸透させることなので、高いクオリティが求められます。クオリティが低いと「インナーブランディング」として成立しないだけでなく、従業員のモチベーションを下げてしまい。かえって逆効果です。ですから、動画制作上、最優先で考えなければならないのは「内容を理解しやすい」「共感してもらいやすい」といった動画の「内容」のクオリティです。

 インナーに限りませんが、「ブランディング動画」を作るにあたっては、視聴者の興味や関心を引き付ける内容が求められます。コンセプトを確立し、視聴者の共感が得られる内容に腐心しても、実際に動画を見てもらえなければ、視聴者へメッセージは伝わりません。そのためには、動画に「ストーリー性を持たせる」ことが重要で、説明や解説のみよりもアニメや映画のようなストーリーを意識したつくりの方が、感情移入はしやすくなります。

 しかし、これを一般企業の広報や企画担当者が作り上げるには、相当、ハードルが高いです。他の業務も抱えながら、企画構成から台本づくり、さらには撮影や編集、完パケ作業に至るまでこなすとなると、とても兼務でできるレベルではありません。そこで、ここはプロの制作会社へ思い切って相談してみては如何でしょうか。

 プロならば、担当者からのヒアリングを基に、過去の経験から多様な引出しを駆使して、どうしたら効果的な訴求に漕ぎつけられるか答えを見つけ出すはずです。当然、専業ですから、依頼主が動画制作に時間をとられることはありませんし、クオリティも折り紙つきです。予算上の都合で、よしんば自社制作するにしても、プロのアドバイスを経たものと全くの自己流で取り組んだものとでは、クオリティに雲泥の差がつくでしょう。従業員の会社に対する愛着や忠誠が高まるような「インナーブランディング動画」を制作するには、プロを企画に絡ませることが、ブランディング成功の「必要十分条件」といえます。

テキスト:ナインフィールド
プロデューサー 笹木 尚人