Premiere Pro用PC購入 スペックはどのくらい必要?Windows?Mac?

Premiere Pro用PC購入 スペックはどのくらい必要?Windows?Mac?
2020年5月11日 ninefield

映像制作関係者であれば、映像編集ソフトの代名詞とも言えるAdobe Premiere Proを知らない人はいないでしょう。YouTubeの投稿動画から、本格的な映画まで作れるという懐の深さ。それでいて一般人には購入できないほど高価なわけでもありません。
もちろんプロ・ユースなので、無料の映像編集ソフトとは操作性も機能も一線を画します。ハイレベルな映像制作を目指すなら、このソフトを使いこなせることが業界基準と言っても良いでしょう。
ただし手持ちのPC(パソコン)に組み込めば、その日から自在に編集ができるわけではありません。PC側にもある程度のスペックが必要です。Premiere Proのポテンシャルを最大限に引き出すためには、どのくらいのスペックが必要なのでしょうか?



 

 



映像編集ソフトのスタンダードAdobe Premiere Pro

Premiereという映像編集ソフトは、Adobe社が1991年に開発しました。映像制作分野でもデジタル技術が導入され、それまでのリニア編集からノンリニア編集へとシフトするに従って、Adobe Premiereのユーザー層も拡大。

当時はあくまでも各社が技術を競う中での一編集ソフトでしたが、Premiereの優れた点は自社のソフトと連携した発展性にありました。PhotoshopやIllustratorなど、映像制作以外でよく使われる複数のソフトと連結して使うことができたのです。

Premiereが持つこの拡張性が、徐々に多くのユーザーに認められるようになり、連携するソフトの種類が充実するにつれ、Premiereは映像業界のスタンダードとして幅広い分野で認識されるようになりました。

 

Adobe Premiere Proの特筆すべきポイント

Premiereはその後Premiere Proへと進化して、現在はAdobe社が持つすべてのアプリケーションと連携可能な、Adobe Creative Cloudとしてクラウド上でサービスされています。その主な特長を紹介しておきます。

①クラウド上で展開されるサービス
Adobe社はPremiere Pro、After Effects、Photoshopなどを統合して、Creative Cloudとしてクラウド上でサービスを提供しています。これまでのようにソフトを別々に購入する代わりに、最新バージョンをクラウドを通して自由に使用できます。

②他のアプリケーションとの連携
Creative Cloudの強みはPremiere Proを中核として、他のアプリケーションと連携しながら編集を進められることです。編集加工のステップや作業ごとに、別のアプリケーションに移動する手間がかかりません。Creative Cloudを使えば、編集の全工程をPremiere Proで完結させることが可能です。

③ほぼすべての映像素材に対応
撮影素材については、HDから4K~8K、さらにVR用映像にまで対応しています。現在使わてれているビデオカメラからスマートフォンまで、どんな機器で撮影してもPremiere Proなら編集可能です。

④あらゆる映像表現をカバー
動画には音声や文字テロップをはじめ、静止画像やアニメーションなど複数の映像表現が含まれます。Premiere Proでは、これらすべてを同時に扱って編集作業を完結させることができます。

⑤編集ソフトのモバイル化にも対応
Premiere Proはモバイル用のPremiere Rushと連携して、外部のモバイル機器で撮影してそのまま編集したり、外部のモバイル機器にアクセスして、手持ちのPCを使って編集するなど、いち早くモバイル編集にも対応しています。

他にも優れた点はいろいろありますが、映像編集に必要な機能でPremiere Proに欠けているものは、ほぼ何もないと言って切っても良いでしょう。

 

Premiere Proで広がる映像編集の可能性

現在オフィスワークもクラウド化が進んでいますが、Premiere Proの編集ではソフトのバージョンアップと、クラウド内のストレージを使用する場合などでクラウドサービスにアクセスします。素材データや加工したデータなどをクラウド内で共有すれば、複数のスタッフが別々な場所で作業を進めることも可能です。

クラウドサービスを頻繁に使用する場合には、インターネット回線の物理的な構成を整えて、できるだけ高速でデータをやりとりできる環境を構築すべきでしょう。システムの設定によっては、充分にテレワークにも対応できます。

Premiere Proがクラウド化されたことで、映像制作現場にも新しい動きが広がっています。一般的に撮影した映像素材は、一度カメラクルーが持ち込むかデータとして転送してから、スタジオで編集作業を行います。

しかしクラウド上で映像素材が共有できれば、撮影後すぐに複数の場所で編集や加工作業を始められます。またモバイル端末でも直接編集が可能なため、テレビやインターネットの動画にも新しい変化が生まれるかもしれません。

 

パソコンを選ぶ上での重要ポイント

Premiere Proで本格的な編集を行う場合、今後の発展性を考えると、今の内からスペックに余裕のあるPCでシステムを組んだ方が良いでしょう。高性能なCPUやHDDを選ぶことも重要ですが、Premiere Pro本来の性能を発揮させるためには、グラフィックカードとドライバの選定が一つのポイントになります。

推奨グラフィックカードは、Adobeの公式ホームページで確認できます。グラフィックカードの機能を最大限に高めるためには、高性能のGPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)も必須です。

またデータを保存するストレージはHDDでも問題ないでしょうが、システム側はより高性能なSSDを選んだ方が良いかもしれません。基本的なシステム構成についても、Adobeのホームページに「推奨仕様」として紹介されています。充実したサポート体制も、Adobeの特長の一つと言えます。

 

Windowsで使う?Macで使う?

ここからはAdobeの公式ホームページをもとに、Premiere Proで快適に編集するためのPCスペックを確認します。システム構成上で最低限必要なスペックも紹介されていますが、ここでは推奨仕様に従って説明します。

まずOSはWindows10の64ビット版で、常に自動更新を保っておけば問題ないでしょう。ただし4Kの動画編集まで考えるなら、Windows10 Proを選択するべきでしょう。

高画質で自由な編集を行うためには、まず1つめとして高性能なCPU(プロセッサー)を選ぶ必要があります。Intel製なら第7世代以降の製品で、AMDなど他社製品も同等クラスを選ばなければなりません。

CPUの処理パワーが不足していると、編集中のレンダリングやファイルの書き出し、エンコード作業などに時間がかかる場合があります。できれば最新のCPUを選んでおきたいところです。

もう1つ重要なポイントはGPUとグラフィックカードの選定で、CPUは4GB以上をめやすに、グラフィックカードはAdobeホームページの推奨グラフィックカードを確認して、「GeForce」や「Quadro」を搭載したPCを選びましょう。

その他4K対応の場合32GB以上のRAMと、システム用にはSSDとデータ用にはHDDという、二重のストレージ構成がおすすめです。もちろん予算的に余裕があるなら、データ用もSSDで揃えると良いでしょう。

一方Macでシステムを組む場合ですが、基本的な仕様はほとんどWindowsの場合と変わりません。OSはmacOSのv10.13以降で、CPUはIntel製なら第6世代以降のバージョンか、それと同等の他社製品が必要です。

GPUとグラフィックカード、SSDとHDD、RAMの組み合わせなどもWindowsと同様です。4K編集まで対応するなら、やはり可能な限り高性能なシステム構成を選んだ方が良いでしょう。

以前はデザインやグラフィック系の仕事には、Macの方が向いていると言われた時期もありました。しかし現在WindowsとMacのシステムに、性能面や得意分野での違いはほとんどありません。Premiere Proで動画編集する上でも、コンテンツの仕上がりはほぼ同等と考えて大丈夫です。

 

プロの視点から選ぶPremiere Pro用パソコン

ここまで説明してきたスペックを満たすPCは、動画編集用PCで検索すると、おすすめのパッケージとして販売されています。価格帯としては30万円前後が目安になりますが、パーツを組み合わせて自作が可能なら価格はぐっと抑えられます。

映像業界は現在非常に進歩が速いので、PCは拡張性が高いものを選ばないと、数年ごとに本体全部を買い替えという事態も考えられます。CPUが交換可能であったり、追加用のスロットが充実していることもポイントでしょう。こうした拡張性は、ある程度の価格帯のPCであれば心配する必要はありません。

WindowsのPCはゲームへの汎用性が高く、動画編集用PCにこだわらなくても、HD動画なら充分にPremiere Proに対応できますが、4K動画まで考えると動画編集用のシステ構成をおすすめします。

またWindowsとMacには性能面での差はありませんが、上位機種になるとMacの方がやや高額になる傾向があります。それでも根強いMacファンが存在するところなど、何となくiPhoneとAndroidの住み分けに似ている気がして不思議です。

実際に弊社でもMacで運用しているスタッフもWindowsで運用しているスタッフも居ますので、優劣があるというわけではありません。連携する他社のスタッフやポスプロダクションに合わせて使い分けるケースもありますので、初めて購入する時にどちらが良いかわからないという方は、自分の周囲の機材や環境を確認してから決めるのも良いかもしれません。

 

テキスト:ナインフィールド
ディレクター 林 要